第9回F3C世界選手権の競技進行の基礎知識 F3C世界選手権のレポートをごらんになる方のために、どのような競技会なのかをより知っていただくために整理してみました。 なお、現行ルール及び主催者告知(Bulletin)を元に記載し、一部未確事項については推定も加えてあります。競技開催後の選手ミーティングの結果で一部訂正があるかもしれません。 |
1.使用ルール |
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FAI F3Cルール(1997年版)による。(ルール概要 ) フライトエリアの規定は こちら 予選ラウンド(第1日目〜第4目)は 演技スケジュールA を使用する。 決勝ラウンド(フライオフと言う)には 演技スケジュールB を使用する。 |
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2.ジャッジング | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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予選ラウンド 選手の演技は約10M離れた位置並んだ5名のジャッジにより採点されます。 一つの演技毎に演技の完成度に応じてジャッジペーパーに0〜10点(0.5点刻み)のマークを付けます。 その演技に対して5人のジャッジが付けた点のうち、最高点と最低点を切り捨てた、3名分の得点合計に演技毎に設定されている係数(K)をかけたものがその演技の得点(ジャッジ素点数とも言う)となります。 全演技のジャッジ素点の合計が選手にとってのそのラウンドのジャッジ素得点となります。 予選ラウンドの最高点は、3人×10点×係数2×3演技+3人×10点×係数1×6演技=360点 決勝ラウンド 今回の世界選手権では決勝のみ10名のジャッジにより採点され、各演技に対して10人のジャッジが付けた点のうち、高い方の二人分と低い方の二人分の点を切り捨てた、6名分の得点合計に演技毎に設定されている係数(K)をかけたものがその演技の得点(ジャッジ素点数とも言う)となります。 全演技のジャッジ素点の合計が選手にとってのそのラウンドのジャッジ素得点となります。 決勝ラウンドの最高点は、6人×10点×係数2×3演技+6人×10点×係数1×7演技=780点 |
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3.ラウンド得点(スコア) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
各ラウンドの成績は、そのラウンドでのジャッジ素点の最高点を1000点に換算し、全選手のジャッジ素点を比率で換算して算出されます。 1000分率方式と呼ばれています。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
4.予選ラウンドと団体成績 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
一カ国の出場選手は最大3人。 (今回は約27カ国) 全員が予選ラウンド1〜4に出場する権利を有し、各選手の予選ラウンド1〜4のうち一番低いラウンド得点を切り捨てた3ラウンド分の合計得点を合算したものが団体成績となり、団体順位が決定される。 (代表者が3名に満たない国は当然不利となる) 前回の選手権者(チャンピオン 橋本選手)はFAIの招待選手としての個人参加となり、この場合は団体成績には無関係となる。 しかし、前回チャンプをその国の選手枠に加えることも可能でこの場合団体成績に含まれる。(今回の日本は、橋本選手の他に3名の選手を選抜しているため、橋本選手は団体成績とは無関係) |
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5.個人成績 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
選手の個人成績は、予選ラウンドと決勝ラウンドの総合で算出されます。 予選ラウンド1〜4のうち一番低いラウンド得点を切り捨てた3ラウンド分の合計得点(最高点は3000点)を最高点の選手を1000点に再換算し、以下の選手を1000分率で算出したものが個人の予選ラウンド得点となります。 この得点の上位20%(または15人)の選手が決勝に出場できます。 決勝ラウンドは、決勝第1ラウンド〜第3ラウンドまで行われ、各ラウンドとも、ジャッジ素点を1000分率で換算し算出されます。 予選ラウンド得点、決勝1、決勝2、決勝3の4個の得点のうちもっとも低いものを切り捨てた3個の得点の合計が個人の最終成績となります。(最高点は 3000点となる) 雨等で不成立のラウンドがあった場合もこれに準じます(最も低いラウンドを切り捨てる考え方が基本) |
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6.予選ラウンド2面進行(その1) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
今回の世界選手権でもっとも特徴的なのは予選ラウンドの2面での進行です。 前回の世界選手権まで、F3Cは1面(競技場1つ)での進行でした。 スケジュールAは、演技時間、調整時間等を考えると進行上は1時間あたり6名が限度です。 会場の位置と季節により日照時間が異なるものの、正味8時間が限度と考えられ、50名程度での競技であれば進行は可能です。 前回(第7回 ポーランド)では、出場者60名以上、競技開始7時、終了18時でした。 70名以上であれば、1面での予選ラウンドは物理的に不可能です。 この場合は2面以上で進行する必要が生じます。 1つのラウンドを長時間に渡って行った場合、もう一つの問題が発生します。 朝、昼、夕と飛行環境が異なりすぎる事への不公平感です。 これを解消すべく第1〜4ラウンドでは、選手の出場時間を均等に変更しますが問題は残ります。 もう一つの問題はジャッジングです。 ジャッジはラウンド中交代できませんので(倒れれば別ですが...)長時間に渡り審査します。 ルールに照らして採点していくわけですが、人間が行えば比較での要素は拭えません。 朝早くから夕方まで、めちゃくちゃ上手い選手と????の選手が混在して出場する場合、長時間に渡ると全体として正確さを維持して審査できるかの不満感が残ってしまいます。 出場者が多くても、半日程度で終えられれば上記の不満要素は解消できます。 これを可能にするのが複数面での進行です。 ただし、ローカル大会のように選手が多いので二グループに分けて別のジャッジで同時にやって集計するような無茶なことは公式大会では出来ません。 複数面の進行の方法がルールブックに明文化されてはいませんが、ルールに準じて考えていけばいいわけです。 ”一つのラウンド中、飛行場もジャッジも同じ。” この原則が成立している限り1つのラウンドが2日にまたがったとしても成立すると考えられます。 予選ラウンドは、4ラウンドですから、これを4日間で行うと考えた場合、方法は次の3つです。 1. 1面でやる(出場者は40〜50名が限度) 2. ジャッジグループを2グループ、飛行場を2面使って進行する。(いわゆる2面方式) 3. ジャッジグループを4グループ、飛行場を4面使って進行する。(出場者が100名以上の場合) 今回の世界選手権では、予選ラウンドは2面での進行です。 今回、2面での進行になったのは、次回日本での開催を考えてのことと。 日本の5〜6月の日照時間を考えると、2面は必要条件となるためその実績づくりも大きな要素といえます。 |
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7.予選ラウンド2面進行(その2) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
予選開始直前の選手ブリーフイングで進行の詳細説明の結果訂正があるかもしれませんが、現状の告知等を総合して推定するとこのような進行になります。 選手を2つのグループに分ける(仮に AグループとBグループとします) 飛行場は第1サイト、第2サイトの二つを使用 10名のジャッジを2グループに分ける(仮に ジャッジ1とジャッジ2とします)
表の同色の部分が、同一飛行環境なので、これを1つのラウンドと考えればよい。
言い換えると、全選手が1日に1ラウンド行うのではなく、2日で2ラウンド行うと考えればよいのです。 第2日目に2ラウンド分が確定し、4日目に4ラウンド分が確定すると考えて、予選ラウンドの得点表を観ていてください。 |
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8.飛行サイト | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
会場にある4つの飛行場(アスファルト3、芝1)のうち、アスファルトの2面を使用する。 第1、第2サイトとも午前8時スタート。 第2サイトは本部に近い位置にあり、決勝ラウンドは第2サイトを使用する。 第1サイト、第2サイトとも、アスファルトの上に10m角のカーペットを敷設して使用する。 となっています。 会場は、U.S.A インディアナ州マンシーにある、、AMA(Academy of Model Aeronautics)の 国際模型飛行場 |